■2013年7月
Flickrに掲載したミニチュア画像が少しずつ好評を博し、
加工方法についての問い合わせを数件いただいた。
ゆえに本頁では、その画像加工方法について掲載します。
その1.Photoshopを起動、加工したい画像を選択 |
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コツは「ピンボケさせたくない物体」を決めておくこと。 ここでは、糸巻きしているヲジサンの右にある柱。 これをピント対象とします。 |
なお、使用したPhotoshopはCS5.1 ならびにCS6
後者にはミニチュア加工が容易になる、「チルトシフト」なるぼかし機能が存在する。
前者にはそれがないため、後日、違う手法にて加工する。
今回はCS6による虹彩絞りボカシ(いわゆるミニチュアぼかし技法)を用いる。
2.レイヤーの項目から、トーンカーブを調整 |
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色調の斜め線をクリックするとポイントが出現。 そのポイントをドラッグすれば色調を補正できます。 緩やかなS字になるよう、ポイントを2点作成。 |
この時点で、画面右下には、ベースの画像「背景」と別に
「トーンカーブ」というレイヤーが出現しているはず。
ここで、もう一度「背景」のレイヤーを選択し、次は「色相・彩度」を選択
3.彩度は赤を強調、明るさもちょい増し |
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ミニチュア感を出す最大のポイント。 赤をより赤く、青みがかった空気感を減らす。 暗がりがある場合は、明度も微増。 |
ここまで到達できれば、彩度・トーンカーブ・背景の3レイヤーを結合。
4.彩度・トーンカーブ・背景のレイヤー3層を結合 |
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レイヤーウィンドウから、Shiftを押しながら3層全てを選択。 右クリックで「レイヤーを結合」 ※表示レイヤーを結合でも全て結合可 結合したレイヤーを複製する。 |
結合したレイヤーを「背景」レイヤーと呼称する。
「背景」レイヤーを右クリックで「複製」。
複製したそれを、「複製その1」と呼称する。
5.複製その1:ノイズで、画像を「つぶす」 |
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上部メニューから「フィルター」→「ノイズ」へ。 まずは「ノイズを加える」へ。 量は3.55%、均等分布、グレースケールノイズ。 |
これで複製その1には「ノイズ」のみ。
「ノイズ」の加わった複製その1をさらに複製。
これを「複製その2」と呼称する。
6.複製その2:ダスト&スクラッチでさらに画像を「つぶす」 |
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複製その2レイヤーだけを選択、 「フィルター」→「ノイズ」から「ダスト&スクラッチ」へ。 半径1、しきい値0 とする。 「複製その2」のレイヤーは「比較(明)」に変更。 |
複製その2では、ディティールをつぶすための技法を施す。
7.複製その1 と 複製その2 を結合。アンシャープマスクへ。 |
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レイヤーウィンドウの中にある、2つの複製を Shiftを押しながら選択。 ベースとなる「背景」は結合しない。 「レイヤーを結合」と選べば、複製した2つのみが結合する。 この結合したものを「複製Ver.2.06」とする。 これをアンシャープマスクにかける。 |
ディティールへの陰影を、より強調する。
これで下地は完成。
次項で「ぼかしたくない」物体だけを抽出する。
8.ぼかしたくない箇所をなげなわツールで選択、クヲリティの根幹部分 |
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なげなわツールで輪郭をなぞる。 ここでは人物、柱の中央付近までを選択範囲とする。 選択範囲が決定すれば「選択範囲」から「滑らかさ 1」、「境界ぼかし 1」に修正する。 |
上記「なげなわツール」が最も緻密で時間がかかる部分。
割愛しても良いが、そうすると距離の差分が作られない。
9.選択範囲をコピー&ペースト、新規レイヤーに起こす。 |
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選択範囲をCtrl+C、 Ctrl+V とするだけで良い。 新規レイヤーに、選択範囲の部分だけが新たに精製される。 繰り返すが、ここはボカシ対象範囲外。 |
いよいよ、複製Ver.2.06のボカシ加工に移る。
10.「フィルター」→「ぼかし」→「虹彩絞りぼかし」へ |
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虹彩ぼかしには3種類の設定が必要。 まずはぼかし円の中央付近、白玉。これは中央寄りへ。 次にぼかし範囲、これは極力楕円状にして移動。 白玉とぼかし範囲をひき離すほど、ぼかしがグラデーションのように多段階となる。 ぼかし半径は10px前後に調整。 |
では、最後のぼかし調整へ。
ぼかし過ぎた箇所を、消しゴムツールで消していく。
一気に消えないように、不透明度を下げてファンデーションのように薄く消していくこと。
11.消しゴムツールでぼかしの微調整 |
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ボケた石畳はそのままに。 消しゴムの不透明度を10%前後にしておくと、少しずつ消去できる。 柱の上に付随する看板を2~3度消しゴムでこすり、 輪郭が浮かび上がってきた所が頃合い。 |
ここまで来ればほぼ完成。
後はミニチュア感を強調するため、画像を拡大する。
12.画像を拡大 |
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レイヤー全てを選択して、Ctrl+T ドラッグして画像を拡大する。 上下左右がボケている、中央にピントがあっている。 そんな状態にトリミングする。 |
このレイヤー拡大が最大のキモ。
これでもか、という程に拡げてあげましょう。
拡げることで、快楽を覚えられるならば、それもまた良し。
これで画像は完成。
最後はコピーライトの入力を行い、文字に装飾を施せば完成。
13.コピーライトの入力&装飾 |
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ここは人それぞれ好みの問題。 文字の周囲に影を落とし、文字そのものが透過するように仕立てたのが上の例。 |
以上で完成。
これを1920*1080サイズで保存したのがこちら。
完成品 |
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Flickrにも同一のものをUPしております。
フルHDにてご堪能ください。
■追記 CS5.1以前のボカシ技法
ここからはチルトシフトの無いPhotoshop CS5.1以前でのテクニックをご紹介。
上記9番までの手順は同じ。
A.円形グラデーションを作成 |
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クイックマスクモードをクリックし、グラデーションを作成する。 「描画色から透明へ」として、ぼかしたくない中心あたりをドラッグ。 |
ぼやけた円が誕生すればOK。
この円を選択範囲へとチェンジし、形を変える。
B.選択範囲に切り替えて変形 |
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ちょっと複雑。 まずはクイックマスクモードを再度クリックすると、色玉が選択範囲に変わる。 上部メニューから「選択範囲」→「選択範囲を反転」。 同じメニューから「選択範囲を変形」を選ぶ。 これでボカしたくない範囲を作り出せる。 |
コツは横に細長い楕円にすること。
C.選択範囲を楕円刑にしたら、再度「選択範囲を反転」 |
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楕円の周囲にできた長方形、これを横長に引き延ばす。 引き延ばせたら、もう一度 上部メニューから「選択範囲を反転」にする。 |
これで楕円部分が「ボカしたくない範囲」として認識される。
ここからいよいよボカシ加工へと移る。
D.ぼかし(レンズ)で代用する |
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上部メニュー「フィルター」から「ぼかし」→「ぼかし(レンズ)」をチョイス。 詳細メニューから「ぼかし半径 8」、「明るさ20~30」、「ノイズ 0」に調整。 |
ノイズ加工は既に行っているためゼロにした方が良い。
ぼかしが強くかかる傾向にあり、モザイクのようになる。
ぼかし半径は1桁で良い。
E.消しゴムツールでボカし範囲を調整 |
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ここはCS6と同様、距離が手前にあるのにボケ過ぎた所。これを消しゴムで薄く消していく。 上記画像で言えば、柱についた看板だけ。 「背景レイヤー」がうっすら見えてくれば看板の輪郭が現れる。 こうすることで、ボケに距離感が生まれる。 |
あとは「12.画像を拡大」から同じ処理を行う。
ボカす箇所を自由に調整できないゆえのチカラ技とお考えください。
CS6に付随する「虹彩絞りぼかし」を疑似的に作り出す手法として補記しておきます。