次世代メモリHBMについて

2015年、現地時間6/16に発表となったRadeon R9 Fury。

近年、AMDはE3の会場で新GPUをローンチ、もしくはデモを行うようになったが
ゲームを中心とした話題に速報記事が乱立。

このタイミングでFury (フューリィと読む)をお披露目することが効果的かどうかはさておき。

Furyファミリーのトピックスは積層されたメモリ、HBMにある。
これは、High Bandwidth Memoryの略で、日本語では高帯域幅メモリと言える。

何なのこれ?という解説を目的とした執筆である。

HBMはDRAMの縦積み

そもそもはDRAM技術進歩が鈍化したことが始まり。
基板上にDRAMを1枚ずつペタペタ貼ってそれらを平面上で配線・連結していた。

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画像は2015年5月 AMDのHBMの概要発表資料より引用。

DRAMは枚数を増やすことで大容量化をはかってきた。
しかし、いかんせん面積を喰う。
さらに単体での大容量化・高速化に限界が見えてきたのが2009年ごろ。

こぞってDRAMメーカーが模索した中で話題となったのがTSVという技術。
TSVとは、Trough Silicon Via。つまりシリコン貫通ビアの略称を指す。

「平面に限界があるなら縦に積んじゃえば良くね?」という発想で生まれた。

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画像は2015年5月 AMDのHBMの概要発表資料より引用。

ロジックダイという土台のもと、DRAMに釘のようなものが刺さっている。
それの針部分がTSVとよばれる電極線で、一般的に銅を用いる。
釘の頭の部分をマイクロバンプと呼び、DRAM同士を接続している。

TSV技術の流布

縦に積むことでどう電気配線を組むか。

細長い電極柱をズボッと貫通させる手法がTSVである。

従来ではワイヤボンディングという手法が一般的であった。
これは縫合手術のようなもので、縦積みした半導体を細長いワイヤで接続していた。

TSV01

画像は2011年11月 Server Memory Forum の講演資料より引用。

左上の Wire Bonding Type が従来のワイヤボンディング。
これはこれでスゴイ技術なのだが、いかんせん遅延と誘導子が大きい。

つまりロスが生じる。

そこでその右隣、Thru Via Type が提唱・研究された。

TSVのメリットとデメリット

メリットは以下の点が挙げられる。

前述の釘がDRAM同士を接続するため遅延が極小。
スタックあたりのメモリ帯域は256GB/sec (2Gtps時)まで見込まれている。
Fury Xでは全メモリを合わせたメモリ帯域幅が512GB/s。
まだまだ向上の余地が残っている。

さらに遅延がすくないぶん消費電力面でも減少の傾向をもたらす。
1枚のシリコンダイ面積を拡げる必要もなくなる。
すると単体の面積を小型化、CPUの隣にポンと置いておける。

結果、実装基板も小さく出来る。

なにやら良いことづくめな気がしなくもない。

反面、デメリットとしては以下のことが挙げられる。

DRAMが熱に弱く、下層ほど高温になるため現状4枚スタックが限界である。
熱源が密集するため、今までのDRAM実装より局地的に温度が上昇しやすい。
SK Hynix社では信号伝達を行わない、熱伝導のためのダミーバンプを配している。

それほど熱に対してシビアであるとも言える。

ゆえにFury Xが簡易水冷として登場しているのも頷ける。

AMD05

この構造次第ではポンプが死ぬか、水路が汚れ使用時間によって冷却効果は下がる。

無下に簡易水冷を否定する訳ではないが、
簡易水冷は消耗品」という認識も同時に広まるべきであると考える。

最後にRadeon R9 Fury X の公式スペックを載せて締めくくりたい。

AMD-Radeon-R9-Fury-X

GPU R9 Fury X R9 Fury R9 Nano
シェーダプロセッサ数 4096 TBC TBC
テクスチャユニット数 256 TBC TBC
ROP数 64 64 TBC
コアクロック 1050MHz TBC TBC
メモリクロック 500MHz 500MHz 500MHz
メモリインターフェース 4096bit 4096bit 4096bit
メモリバス帯域幅 4GB HBM1 4GB HBM1 4GB HBM1
メモリ容量 512GB/s 512GB/s 512GB/s