PCゲームを暴走させない常用OCの道しるべ

2015年10月27日

Akiba PC Hotline! に掲載された記事が私の中で波紋を呼んでいる。

『大作PCゲームを快適に、性能100%超かつ暴走させない常用OCテクニック』(以下、常用OC記事)

当記事では常用OC+ゲーミングというPCを、
日本代表のオーバークロッカー (以下、OCer) 視点で設定を紹介している。

構成も豪華だな、というのが最初の感想で
モニター、キーボード、マウスを考慮しない状態で見積もると
およそ309,455円と爆裂価格であった。(2015年10月27日 価格ドットコムより)

そこで。

私が具体的に感じたことは次のとおりだ。

1.これは万人が扱えるPCではないということ
2.常用OC記事が、自作初心者には諸刃の剣であるということ
3.千差万別、他の構成、他の常用OCもあるのではないかということ

おことわり

清水氏ご本人を否定するつもりは毛頭ない。
お茶目でマニアックな真のOCerとして、心から尊敬している。

くわえてAkiba PC Hotline! は週3〜4度読んでいる愛用サイトでもある。
玄人な自作erもこれから自作を始めようとする人も、おそらく読んでいるだろう。

ゆえに今回の記事が
「OC玄人に振りすぎているのではないか」
「この記事はこれでアリとして他の選択肢もあるはず」
と感じた次第である。

PCに対する価値観は人それぞれ。
OCの持つもともとの危険性を熟慮・承知した上で実行して欲しいと願う。

以上のことから、
当記事は上記の常用OC記事とは別の視点から常用OCについて語る対案である。

そもそもオーバークロックとは

CPUのスペックを決める周波数(3.3GHzなど)を意図的に向上させることを指す。
そのメリットは本来の性能以上の処理能力を持てることにある。

ただしある一定以上のOCには
CPUの核となる電圧を上げる(通称、盛る・昇圧する)必要がある。

これによって生じるデメリットは大きく2点。
電圧または周波数を上げるとCPUの消費電力が増えること。
消費電力が増えることで発熱が生じること。

熟慮したいのは、この電力と発熱の関係である。

電力と発熱

CPU温度(消費電力)は、(コアへの電圧の2乗) × (動作周波数) に「ほぼ」正比例する。

ここで、
1.2Vのコア電圧、定格4.0GHzのCPU Intel Core i7 4790K のOCを引用する。

コア電圧 周波数 CPU温度(しばき時) 消費電力
1.2V 4.0GHz 66.0度 161W
1.375V 4.7GHz 83.0度 229W

※温度・消費電力は x264 FHD Benchmark実行時
※引用元 PC Watch

上記例では、コア電圧114.5%、周波数117.5% の上昇となる。
すると消費電力は、(1.145×1.145) × 1.175 = 1.540
つまり154%ほどの消費電力上昇が目安となる。
(実計測での消費電力は142%上昇)

同時にCPU温度も125%上昇。
こういった温度上昇は、埃が滞留したPCでも平然と起こる。

CPU温度については冷却機構によって上昇幅が異なる。
引用記事では、CRYORIG R1 UniversalというCPUクーラーを使用。

発熱がもたらす副産物

前項のように、OCには昇圧ひいては温度上昇が犠牲としてつきもの。

「じゃあ熱くない程度に簡易水冷だな」と考えるのは早計。

理由は次の2点。

1.簡易水冷 = 消耗品 その多くは銅とアルミの異種金属を使用。
2.温度上昇は免れず、PCパーツの寿命を縮める。

簡易水冷については、過去にも執筆している。
またAkiba PC Hotline! でも参考になる記事がある。

PCパーツの寿命とは、これすなわちアレニウスの法則と言う。

アルミ電解コンデンサは、温度が10度上がると寿命が2倍に縮む。
105度 固体コンデンサと言われたら、105度環境で約2000時間の寿命を指す。

電気を介して動くものには、製品寿命がつきもの。
それも温度によって寿命は変動する。

通常時から20度も温度上昇があるならば、
単純に4倍も寿命を縮めていると考えておいて欲しい。

以上を踏まえて

長くなったが、以上のことから常用OC記事のありのままが
多くのPC Gamerの常用にはなりがたいのではないかと感じた。

 

以上のことから、
次頁では「予算に合わせた常用OCゲーミングPC」について述べたい。