GTX1080,1070をねぶる

2016年5月7日 日本時間10:00
NVIDIAの新GPU GTX1070とGTX1080がペーパーローンチされた。

これに伴って、日本のニュースに未掲載の要素を含みつつ、
これら2機種プラスアルファの情報を集約したものを本稿の目的とする。

まずはGTX 1080 のスゴイところを各項に分けてみた。

1.メモリが新規格GDDR5X

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GDDR5では供給電圧1.35Vまたは1.5Vのサポートが
GDDR5Xでは一律1.35Vに統一された。

※初出時、供給電圧が逆になっていました。お詫びして訂正します。
 正しくは「GDDR5Xは1.35Vのみの駆動電圧サポート」です。

QDR (Quad Data Rate) モードを備えているのが特徴となる。

———- ここだけちょっと小難しい話になるので割愛可 ———-

これはプリフェッチ (事前読み込み) の数量を指し、最終的に転送レートに影響する。

例えばGeForce GTX 980Ti では、GDDR5 384bit メモリバス帯域幅336GB/s だった。
336GB/s*8 ÷ 384bit = 7.0Gbps 、つまりデータレートが7000MHz。
このことから実行メモリは 7000MHz ÷ 4 =1750MHz ということが算出できる。

対してGTX 1080 は320 GB/s だと謳っている。
すると、320GB/s*8 ÷ 256bit = 10Gbps となり、実行メモリが
10000MHz ÷ 4 = 2500MHz と、とんでも性能。

これがプリフェッチ2倍となるQDRモードの威力である。

ベンチマーク上でのメモリーバスクロックはこれの2倍で算出されているので
5000MHz で駆動していることがデフォとなる。

———- ここまで ———-

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ローンチイベントのGTX 1080 OC ベンチでは メモリバスクロックが5508MHzを示している。
恐らくはファウンダリーエディション (※後述)だが
メモリバスクロックだけで標準比1.1倍をゆうに超えている。


ちなみにGTX 1070 は、従来通りのGDDR5 で帯域幅256GB/sとしている。
これはGTX 980 の 224GB/s をも上回っている。

つまるところ、足回りに関してはどちらも不足ない出来にまで仕上げてきている。

マルチディスプレイだろうが4Kだろうが、解像度が上がったところで大きな息切れにはならないことが容易に想像できる。


2.プロセスルールを2世代前進

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旧世代 GTX 980 およびその上位 TITAN X までは 28nmプロセスで製造されている。
これは単純に「配線幅」だと思ってもらって良い。

例えば 28nm から 20nm にプロセスルールを縮小したとする。

すると配線の細かさが縦横それぞれ 20/28 = 約0.714倍 に縮小されることになる。
面積にすると、0.714*0.714 = 0.509 ほぼ半分になる。

細かく設計できる
= 小型化できる
= 小型になった分、もっと部品積み込む
= 前と変わらないくらいの面積にすれば性能アップ

という図式が出来上がる。

さらにFinFETという最新技術でリーク電流などにも対応したことで
省電力設計となっているのも見逃せない。


さて、ここまで良いこと尽くめだが、気になる点がある。

それはNVIDIAが「GTX 1070 さえも GTX TITAN X より速い」と見解した点にある。

3.ベンチ結果は GTX 1080 > GTX TITAN X ( > GTX 1070 ?)

※2016/05/09 Graphic Score のみの抽出に修正

初出時、3D Mark11の総合スコアを表示していたが、
ある程度のグラフィックスコアを抽出できたので差替えを行った。

各グラボの、3D Mark 11 P におけるグラフィックスコアを指している。

ここから考察できる点は3つある。

  1. GTX 1080は TITAN X越えだが、2倍とまで行かず約18%向上。
    確かにGTX 980 2SLI より高スコアを叩ける。
    当スコアでは1860MHzまでコアクロックが出ており、正気の沙汰ではない。
    ただ、発表イベントの空冷OCを見る限り、GPU Boost 3.0 空冷でいける範囲。
  2. GM200 (TITAN X) のデータから逆算するに2560 CUDA Core あたりが妥当。
  3. GTX 1070が GTX 1080比 75~80%の性能と仮定すると、
    GPU Boost 1800MHzに到達するなら 2048 CUDA Core 前後となる。
    するとスコアは22000に行くかどうか、TITAN X同等かちょい下と予測される。

以上のことから、WCCF Techの予測もうなずける。

NVIDIAの「電力当たりでGTX TITAN X 比の3倍ダー!」とか
「GTX 1080 は TITAN X 超えダー!」という謳い文句は
VR環境や3D性能、4K高解像度時であることを認識しておいて欲しい。(※後述)

ともあれ、980Ti ≒ TITAN X と同等レベルの GTX 1080 が、
たった 8pinケーブル1本で動くことを考えると驚異的ではあるが。


そしてまだ海外リークしかないが、 GTX 1060 は GTX 970 より10%ほど速い

くわえてGP100、いわゆる「次のTITAN」だが、これは年末年始の登場は絶望的。
なぜなら、HBM2と言う新規格の爆速メモリの球数がないから。

GTX 970 や GTX 980 の在庫処分値下げを待とうかと考えるくらいなら
いっそGTX 1070 の無印が4万円台で登場するのを待機したほうが賢明かも知れない。


4.価格は 想定ドル x 為替レート + お布施

GTX1080-2

気になる価格について。

GTX 1070 は市場想定価格 $ 379 、ファウンダリーエディション $ 449
GTX 1080 は市場想定価格 $ 599、ファウンダリーエディション $ 699

ここで、私が2015年9月23日付けで輸入した GTX 980Ti を例にとる。

この日の為替レートは 120.1円/ドル。
通常、クレジット決済となるため為替手数料が3.66%ほど入るのでレート124.5円/ドル。

本体価格 $659.95 ≒ 82,170円

ここに国際送料 約 $ 18ドル で 2,323円、
さらに関税デポ 約 $ 54ドル で 6,760円。

※ただし関税デポは $10前後ほどで後日差額返金がある、実質1250円ほど。
もしくはものによって全額返金となる。このケースでは全額返金だった。

ということで、最終決済金額は、84,496円。

これを例に、国際送料 $ 18、関税デポ $ 10で算出してみる。

2016年5月7日現在のレートが 107.1円/ドル

クレジット決済のレート手数料を含めると、111円/ドル。

$379 + 国際送料 $18 +関税デポ $10 = $ 407

【無印版 個人輸入想定価格】
GTX 1070 $ 407 * 111 ≒ 45,177 円となる。
GTX 1080 では、69,597 円。

さぁ、日本代理店がこの金額を切るか否か。
私の答えは 「No」だ。

日本正規輸入代理店には、
輸送費 + ローカライズ&保証 + インセンティブマージン等が発生する。
(市場想定価格 * ドル円レート  + 6,000~12,000円) * TAX 1.08。これが日本国内の市場価格となる。

【正規輸入代理店想定価格】
GTX 1070 の場合、 ($ 379 * 107.1 + 6,000) * 1.08 ≒ 50,220 円あたりが下限値。
GTX 1080 の場合、 ($ 599 * 107.1 + 6,000) * 1.08 ≒ 75,760 円となる。

非リファレンスの下限額予測なので、
発売初週でのリファレンスボードはこれより1万以上高いはず。

発売数週間はリファレンス版のみとなるのではと考えれば、
初出は上記想定価格より確実に高いことは想像に難くない。

以上を鑑みて、グラボ購入予算を捻出してほしい。

ちなみに、GTX 1170 や GTX 1180 を待とうとしている方々。
素直に辞めておいた方が良い。
アーキテクチャの革新がなくマイナーチェンジとなるだけで待つメリットは少ない。

下手をするとリネームの恐れもあるため、買い時はここだということを勧めておく。


5.ファウンダリーエディション

※2016/05/08 追記

201605002

通常、NVIDIAのリファレンスボード (NVIDIAデザイン版) というものがある。
現在では、GPUクーリングにVAPOR CHAMBERが用いられている。

GTX1080

この画像のデザインがそれ。
クーラーとPCIeスロットの所にNVIDIAロゴが入っているで判別しやすい。

初代 TITAN から用いられたクーリングだが、基板設計とあわせて
冷却効率と静音性を両立した高コスト品。

これを今回「ファウンダリーエディション」と名付けているようだ。

これに対してコストダウンを図った、
メーカーオリジナル基板・オリジナルクーラーの製品も存在する。
いわば無印品だが、これを市場想定価格に敷いた。

つまり。

リファレンス版=ファウンダリーエディション
GTX 1070 で $479, GTX 1080 で $ 699 とした製品。

無印版 = 市場想定 ( MSRP )
GTX 1070 で $ 379, GTX 1080 で $ 599 とした製品。

という区分けになる。


6. VR技術について

そして締めくくりはVR技術。

GTX 1080, 1070 にはサイマルテニアスマルチプロジェクション (Simultaneous Multi-Projection) と呼ばれるラスタライズ機能の拡張を実装している。

この辺りは PC Watch 様の記事が詳しいが、
要約すれば、左右それぞれの眼に対する描画性能を最適化して
3D酔いしないためのボーダーラインと言われる90fps動作を可能にした技術。

このVR技術やマルチディスプレイ環境でも恩恵を受けられるらしいが、詳細は不明だ。
また、今後登場するGTX 1060 についてはメモリ削減が予想されるため、
この機能拡張が実装されているかどうかは定かではない。

PCでVRしたいなら、とりあえずハイエンドだろ。という姿勢だと予測される。

2016/05/17、日本時間では05/18より解禁となる GTX 1080 レビューを楽しみに待ちたい。